こんにちは、研究開発部のTRです。
実は、現在ガラス基板のTGV形成のご要求が増えています。
こちらは半導体後工程のパッケージング分野におけるガラスシリコンインターポーザーが業界的にホットな状況でその勢いを弊社は身に染みて感じております。
高性能コンピューティング(HPC)向けの半導体デバイスでは、チップ間の短距離接続に2.5Dシリコンインターポーザーが用いられますが、半導体前工程の製造ラインを用いるため高コストであることから、製品用途が限られています。また、高周波用途においては、シリコンは伝送損失が大きく適していません。このような状況の中、シリコンの代替材料として、ガラスや有機材料を用いた半導体パッケージングが注目を集めています。
本記事では、我々の銅めっきによるガラス貫通ビア(TGV)の形成技術と活動についてご紹介させていただこうと思います。
シリコンインターポーザーの課題
シリコンインターポーザーには以下の課題がありました:
- 高い誘電率による高周波帯域での大きな伝送損失
- インターポーザーの面積増大に伴うΦ300mmウエハでの取れ数が限られる
このような課題を解決できるのが、ガラスや樹脂上に微細配線を形成した基板です。
シリコン、ガラス、樹脂材料の違いについて
ガラス基板と樹脂基板は、シリコンと比較して以下の利点があります:
- 伝送損失の少ない優れた高周波特性
- 基板サイズの大型化が可能
現在、従来の半導体パッケージングの製造工程で用いられてきた500mm~600mm角のワークサイズで、より微細な配線形成を可能にするガラスおよび有機インターポーザーの量産技術の開発が現在盛んに行われています。
ガラス基板の課題
ガラスは樹脂基板と比較して、以下の点で優れています:
- シリコンと同等の熱膨張係数
- 高い加工寸法精度で高密度な微細配線の形成が可能
しかしながら、ガラス基板の実用化においては、以下のような課題をクリアする必要があります。
1. 加工の難しさ
2. 薄く割れやすい基板のハンドリングの困難さ
3. めっき配線との密着性の乏しさ
4. ガラスと銅の熱膨張係数の違いによる配線剥離
これらの課題に対し、装置メーカーによる自動搬送システムや、ガラスと銅の間に密着性を確保するための特殊な下地膜処理など、様々な開発が進められています。
銅めっきによるガラス貫通ビア(TGV)の形成について
半導体パッケージングに用いられるガラス基板は、ガラスコア、ガラスインタポーザー、ガラスサブストレート等とも呼ばれています。
ガラス基板の配線形成においては、シリコンインターポーザーのシリコン貫通ビア(TSV:Through-Silicon Via)加工と同様に、ガラス貫通ビア(TGV:Through-Glass Via)加工が行われます。ガラスの場合、レーザー加工で開けた貫通穴に無電解銅めっきで導電層を形成後、電解めっきを行う「スルーホールめっき」が一般的です。
スルーホールめっきには、主に以下の2種類があります:
1. ビアフィリングめっき: スルーホールの中心部からめっきを成長させて両端まで埋め込む
2. コンフォーマルめっき: 穴を埋め込まず、スルーホールの側壁に均一なめっきを成膜
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ボイドレスフィリングめっきの課題
ビアフィリングめっきでは、配線不良の元となるボイド(空孔)の発生を防ぎつつ、高速でCuめっきを埋め込む必要があります。
そのためには以下のような処理条件の最適化が必要です:
- ビア内部の脱気前処理
- めっき液の添加剤
- めっき中の電流(直流、パルス)
- めっき液の撹拌
ガラス基板のスルーホールは、狭ピッチで配置されるため、大きなガラス基板1枚当りのその数は膨大です。
高い歩留まりを実現するためにも、めっきの前処理において、基板全体のビア内の気泡を確実に除去する必要があります。
また、ガラス基板は400μm程度の板厚があり、スルーホールのアスペクト比が高いため、ボイドが発生しやすい形状です。
ボイドの発生を抑制するためには最適なめっき条件をしっかりと維持管理することが重要です。
ガラス基板の銅めっき工程のデモ評価ならびに最適な装置仕様の検討
弊社では、ガラス基板の銅めっき工程に適した装置仕様ならびにめっきプロセスの最適条件の決定を行うためのサポートをさせていただきます。
ガラス基板の加工メーカー様ならびに銅めっき液添加剤のサプライヤー様と協力し、デモ評価を通じてめっき装置の最適仕様を決定しています。
プロトタイプレベルの開発環境として、ウエハや角基板の両面めっきができる試作装置を社内ラボに設置しています。
ご相談、見学に随時対応させていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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