こんにちは、営業部のTZです。
弊社の脱気システム「Livalley」は従来半導体・電子部品業界のお客様に多くお使いいただいておりましたが、“脱泡・気泡除去“というのは、様々な業界の測定・検査工程にも役立つことをご存知でしたか?
同志社大学 理工学部 機械理工学科 准教授 原 峻平先生が専門の流体工学のご研究において、弊社の脱気システムをご採用いただきました。“液相中のPIV計測を邪魔する気泡を除去、測定精度“を向上と題し、“脱気システム使ってみましたシリーズ“ 第4弾として、その効果についてご紹介します。
PIV計測とは?
PIV(Particle Image Velocimetry:粒子画像流速計測法)は、流体の速度場を可視化・測定するための光学計測技術です。
PIVは、流体中に微小なトレーサー粒子を散布し、これらの粒子が流れに沿って移動する様子を、レーザーシート光の照射によって生じる粒子の散乱光を撮影します。
その後、撮影した連続画像から粒子の移動を解析し、流体の速度場を算出します。
具体的なステップは以下の通りです:
粒子散布:
流体中に直径がマイクロメートルオーダーの微小なトレーサー粒子を均一に散布、分散させます。
レーザーシート照射:
粒子を明確に撮影するため、シート状に広がるレーザーシート光を流体に照射します。
撮影:
レーザーシート光に対して垂直に向けた高速度カメラにより、連続して粒子の画像を撮影します。
画像解析:
得られた画像から、粒子の位置変化を追跡し、二次元または三次元の速度ベクトル場を計算します。
PIV技術が利用される分野は?
PIVは、以下のような様々な分野で利用されています。
航空宇宙工学:
- エンジン内の燃焼ガスの流れ
- 翼周りの空気の流れ
・ 自動車工学:
- エンジン内の燃焼プロセス
- 空力特性の解析
・ 環境工学:
- 河川や海洋の流れの解析
- 汚染物質の拡散
・ 生物医学:
- 血流の解析
- 呼吸器系の空気流れ
・ その他産業分野:
- プロセス工学における流体の挙動解析
- 製品開発における流れの最適化
PIV測定におけるトレーサー粒子の役割
PIV測定における「トレーサー粒子」は、流体の挙動を視覚化するために流体中に分散される微小な粒子です。
トレーサー粒子の流体に対する「追従性」と、高速度カメラによる測定上の「視認性」が重要な要素となります。
トレーサー粒子は、流体の動きに追従し、その運動をレーザー照射によって可視化し、カメラで撮影することで流体の速度場を解析します。
今回の記事で取り上げる液相中のトレーサー粒子の挙動については、カトウ光研株式会社様のYouTube動画をご覧いただけたらイメージしやすいかと思います。
参考) 波浪内部で起こる円運動のPIV解析
PIV計測においては、トレーサー粒子の流体の動きに対する応答性、沈降速度、遠心力などの影響を考慮する必要があります。流体が水の場合は、追従性に優れたトレーサー粒子として、以下のような条件が適しているといえます。
・直径が数μm~数十µmと小さい
・比重が1に近い(水と同じ)
・粒子の形状が球形
・光を散乱しやすい
・水と反応しない材質(樹脂やガラス)
ここで問題になるのが、液相中の「気泡」の存在です。
測定する流体の条件によっては、液中に残留する微細な気泡が、トレーサー粒子の測定ノイズとなってしまいます。
空気は比重が軽く、トレーサー粒子とは異なる挙動を示します。
水よりも粘性が高い液体の場合、気泡がさらに滞留しやすくなります。
弊社の脱気システムLivalleyは、PIV計測時に、液相中の気泡除去が必要なケースで、きっとお役に立つことができるのではないかと考えています。
PIV計測において弊社の脱気システムをご採用いただきました
同志社大学 理工学部 機械理工学科 准教授 原 峻平先生が専門の流体工学のご研究において、弊社の脱気システムをご採用いただきました。
原先生より、ご提供いただいた脱気前と脱気後のトレーサー粒子の画像の比較です。
脱気前の写真では、気泡とみられる大きな白みを帯びたもやのように映っている粒子が全体的に広がっているのが分かります。脱気後は、これらの粒子の数が格段に減っており、測定条件が改善されていることが分かります。
PIV計測で気泡の問題をお抱えでしたら、東設にご相談ください!
いかがでしたか?
PIV計測で気泡の問題をお抱えでしたら、弊社にぜひ一度ご相談ください。
脱泡・脱気の測定・検査用途として、関連ブログもご紹介します!
「より正確な画像診断に貢献!東設の脱気システムが超音波内視鏡の脱気水発生器に採用されました!「Livalley」【脱気システム活用術】」
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