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低熱膨張インバーめっき/電鋳技術開発のお話

更新日:7月20日



こんにちは、研究開発部のTRです。


本記事では、温度変化の大きいプロセスで使用する金型や構造体など、金属材料でかつ熱膨張係数を低く抑えたい薄膜や微細構造形成において応用されている、NiFe合金めっき/電鋳技術開発のお話をさせていただこうと思います。



熱膨張係数のミスマッチの課題を解消するニッケルー鉄合金めっき

電子デバイスに使用される様々な材料は熱膨張係数が異なります。材料の熱膨張係数の違いが、その製品の製造工程の歩留まりを悪化させたり、製品の使用環境によって不具合を起こしたり寿命を短くしたりします。


一般的に、シリコンやガラス、セラミックスなどの無機の基板材料の熱膨張係数は小さいです。一方でそれに比べてめっきやエッチングで形成する配線に使われる金属材料は熱膨張係数が大きく、絶縁に用いられるエポキシ系、ポリイミド系などの樹脂材料はさらに大きな値を示すため、電子デバイス製品のデザイン、材料選定においては、熱膨張係数を考慮することが必須となります。



NiFeインバーめっきの熱膨張係数(CTE)コントロール

NiFe合金は、その組成によって熱膨張特性、磁気特性が変化する特殊な材料です。

温度変化の大きいプロセスで使用する金型や構造体など、金属材料でかつ熱膨張係数を低く抑えたい薄膜や微細構造形成においては、NiFe合金めっき/電鋳が応用されています。


NiFe合金の熱膨張係数は、組成によって特異な挙動を示します。

36%Ni-Fe合金は、インバー(Invar)と呼ばれ、熱膨張係数が2ppm/K程度とシリコン並みに低い値を示します。弊社では、めっき法により、インバー合金に関する文献値とほぼ近い値 4ppm/Kを実現しています。


また、シリコンウエハサイズ~500mm角を超える基板サイズまで、膜厚均一性、組成均一性の高い成膜を可能にする装置技術の開発も弊社では行っています。




低熱膨張めっきの応用分野

ニッケル電鋳を検討する際には下記3つのポイントがあります。


1.MEMS

MEMSにおいてもめっきによる電極形成や電鋳技術が応用されています。デバイスの用途、目的に応じて、ニッケルー鉄合金の組成比率をコントロールすることにより低熱膨張特性、高透磁率特性を有するめっき被膜、構造体を形成することができます。



2.パワーデバイス

SiC、GaN、酸化ガリウムなど次世代パワーデバイスでは高温、高電流密度で動作されることが求められており、様々な接合技術が開発されています。熱膨張係数の整合をとることを目的とした積層金属膜Copper-Invar-Copper(CIC)クラッドの応用が検討されています。これと同様に、常温で異種金属の積層が可能なめっき法を応用できないかと考えています。めっきプロセスでは、ニッケルと鉄のめっき液組成、電流条件を変えることで熱膨張係数を精度よくコントロールできます。また銅めっきとの積層構造を任意の膜厚で多層形成することが可能です。めっき法によるパワーデバイスに適した低熱膨張な電極形成プロセスの可能性に期待が持たれます。



3.ファインメタルマスク(FMM:Fine Metal Mask)

有機ELディスプレイの製造工程において、有機ELの発光材料をガラスやフィルム上に蒸着させる際にメタルマスクが用いられています。メタルマスクの製造においては、ニッケル電鋳が使われてきましたが、温度変化により寸法が変化するため、微細化に限界があります。インバーめっきを電鋳に応用することにより熱による寸法変化を最小限に抑えることができ、大型で高精細な有機ELディスプレイの品質向上、生産性向上につながります。





最後に

いかがでしたか?


東設ではシリコンウエハサイズ~500mm角を超える基板サイズまで、膜厚均一性、組成均一性の高い成膜を可能にする技術でお客様の新製品開発をサポート致します!



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