こんにちは、研究開発部のTRです。
本記事では、無電解めっきによるCu拡散バリア層、シード層形成から、電解めっきによる配線形成を1台の装置で一気通貫に処理可能なめっき装置及びプロセス開発のお話をさせていただこうと思います。
最先端デバイスのモノづくりに不可欠なめっきプロセス
IoT、5G時代においては、莫大なデータ量を遅延なく処理することが求められます。これを実現する手段としてエッジコンピューティングが注目されており、高性能、低消費電力、低コストでありながら、ユーザーの多様なニーズに対応できる電子デバイスの需要が高まっています。
![](https://static.wixstatic.com/media/a3ddc1_317fca9d3f3c4c5eb686a0b079ee0b74~mv2.jpg/v1/fill/w_980,h_980,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,enc_auto/a3ddc1_317fca9d3f3c4c5eb686a0b079ee0b74~mv2.jpg)
半導体デバイスの微細配線形成工程において、1990年代の終わり頃、従来のアルミ配線に代わって、初めて銅(Cu)めっきによるデュアルダマシンプロセスが採用されて以来、半導体の前工程でも、めっきは大変重要な工程の一つとなっています。2020年代に入って、最先端のロジックやメモリなど半導体チップのプロセスルールは、10nm以下にまで微細化が進んでいて、最先端の微細配線では、拡散しやすい銅に代わって、コバルト(Co)が検討されており、電子材料や生産装置の開発が進んでいます。
このような最先端プロセスで作られた半導体チップが持っている性能を最大限に引き出すには、チップ間をTSV(Through Silicon Via)や再配線層(RDL: Redistribution Line)、マイクロバンプによって、短距離で接続することが非常に重要です。配線形成を行う基板材料は、シリコンやガラス、樹脂があり、インターポーザと呼ばれています。最先端のインターポーザの配線幅/間隔(L/S)は、2/2µmと非常に細くなっています。
5Gのような高周波の伝送においては、従来の樹脂材料では伝送ロスが大きいため、ガラス、変性ポリイミドや液晶ポリマーなど低誘電特性材料が開発されています。また、銅めっき配線においては、表皮効果により配線の表面に電流が集中するため、伝送ロス低減のため平滑であることが重要です。
![](https://static.wixstatic.com/media/a3ddc1_9f55a930421b4ef38dac9161ff889678~mv2.jpg/v1/fill/w_980,h_646,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,enc_auto/a3ddc1_9f55a930421b4ef38dac9161ff889678~mv2.jpg)
セミアディティブ(SAP:Semi Additive Process)法による微細配線形成プロセスのデメリット
従来のプリント基板の配線形成法としては、樹脂基板に張られた銅箔のエッチングによるサブトラクティブ法、無電解めっきと電解めっきによるセミアディティブ(SAP:Semi Additive Process)法や、極薄銅箔を用いたMSAP(Modified SAP)法、無電解めっきのみによるフルアディティブ法があります。
また、従来のプリント基板に代わって、ファンアウト・ウエハレベルパッケージ(FO-WLP)や、チップレットと呼ばれる、樹脂基板を使わずにチップ間を接続するパッケージング工法の採用が始まっています。
プリント基板で採用されてきたセミアディティブ法では、電解めっきの導通層となるシード層を成膜後、フォトレジストやドライフィルムで露光、現像を行い、開口部にCuめっきを行い、レジスト剥離、シード層エッチングを行いますが、配線が微細になってくると、シード層のエッチングの影響を受けて、アンダーエッチングにより倒れてしまう問題が発生してしまうケースがありました。
そのため、セミアディティブの代替えプロセスが必要になっているのが現状です。
![](https://static.wixstatic.com/media/a3ddc1_513a0bf36ead4ad2abdf3c6a800eb1c0~mv2.png/v1/fill/w_602,h_397,al_c,q_85,enc_auto/a3ddc1_513a0bf36ead4ad2abdf3c6a800eb1c0~mv2.png)
セミアディティブの代替プロセスとして登場した ビアフィル・トレンチめっきによる配線形成
セミアディティブの代替プロセスとして、ビアフィル/トレンチめっきによる配線形成方法が有力になってきます。フォトリソにより配線となる溝を形成し、そこにCuめっきを埋め込んだ後、基板表面のCuを平坦化することでトレンチ配線を作ることができ、上記のようなレジストや配線が倒れるという問題がありません。この方法により、前工程の配線形成と同様、チップ間の再配線の多層化が可能になります。
バリア層、シード層の成膜工程に無電解めっき法を適用することにより、アスペクト比10程度の深いトレンチ構造でも高い膜厚均一性でめっき配線を形成できるというメリットもあります。一般的なスパッタでは実現不可能で、かつ初期投資コストも低く抑えることが可能です。
![](https://static.wixstatic.com/media/a3ddc1_5d0a93fc78c146e990afca07ff67c246~mv2.png/v1/fill/w_602,h_430,al_c,q_85,enc_auto/a3ddc1_5d0a93fc78c146e990afca07ff67c246~mv2.png)
東設では低コストで信頼性の高い微細配線を形成する オールウェット微細配線形成装置の開発を行っています
IoT時代においては、様々な産業において、高性能なエッジコンピューティング製品が求められますが、異種デバイス間の接続においては、低コストで信頼性の高い微細配線を形成する技術が不可欠です。
弊社では、無電解めっきによるCu拡散バリア層、シード層形成から、電解めっきによる配線形成を1台の装置で一気通貫に処理可能なめっき装置の開発をプロセス開発と共に行っています。
![](https://static.wixstatic.com/media/a3ddc1_08bc346d64894813b7bd9b251e351715~mv2.png/v1/fill/w_595,h_242,al_c,q_85,enc_auto/a3ddc1_08bc346d64894813b7bd9b251e351715~mv2.png)
8インチウエハへの無電解めっきによるCoWB/Cu成膜
下記写真は、弊社の8インチ無電解めっき装置で成膜したCoWB/Cu積層めっきの外観です。それぞれ数十nmの薄膜で、光沢をもつ膜厚均一性の高いめっき膜を、ウエハ全面に成膜することに成功しました。
![](https://static.wixstatic.com/media/a3ddc1_ab0f9a52c4a34fee86859d386c61ecf5~mv2.jpg/v1/fill/w_980,h_865,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,enc_auto/a3ddc1_ab0f9a52c4a34fee86859d386c61ecf5~mv2.jpg)
8インチウエハへの無電解めっきによるCoWB/Cu成膜
最後に
いかがでしたか?
東設では無電解めっきによるCu拡散バリア層、シード層形成から、電解めっきによる配線形成を1台の装置で一気通貫に処理可能なめっき装置及びプロセス開発を今後も続けて参ります!
東設に興味を持っていただいた方はこちらから。
↓
Comments