top of page
きちんとしたコンピュータデスク

BLOG

ブログ

めっき工程の前処理、後処理における重要ポイント

更新日:2023年7月28日



こんにちは、研究開発部のTRです。


本記事では、めっき工程で極めて重要な前処理、後処理と弊社の試みについて、お話をさせてただこうと思います。



めっき工程での前処理、後処理の5つのポイント

ウエハや基板製品のめっき工程においては、前処理によって、基板表面をクリーンな状態に保ち、めっきに支障がないよう十分な濡れ性を確保する必要があります。下地膜表面の酸化や、濡れ性が悪い状態では、ボイド(空孔)や外観ムラ、密着力の低下などの不具合が発生することがあります。



1.レジスト残渣の除去

フォトレジストやドライフィルムにより配線パターンを形成する際、現像後、レジスト残渣の除去を行う必要があります。一般的には、プラズマアッシングや薬液によるウェット処理が行われます。レジスト残渣があるとめっき後レジスト剥離を行った際に配線底部にすきまが入る形となり、シード層のエッチングによりさらにアンダーカットが進行し配線が倒れたり脱離したりする原因となります。



2.基板表面の濡れ性の改善

基板を処理槽に浸漬する際、濡れ性が悪いと基板表面に付着した気泡がなかなか取れないという現象が起きます。そのままの状態で処理してしまうと、当然気泡が付着した部分にはめっきができません。基板材料と水との相性や、表面の粗さなどが、濡れ性の良しあしに影響します。濡れ性が悪い場合は、基板表面に酸素プラズマやUV光を照射して、水酸基(-OH)を導入するなどの改質を行います。レジスト表面の濡れ性改善には、脱気水も効果的です。



3.前処理液による濡れ性確保と表面の活性化

前処理液中の界面活性剤により表面張力が下がるため、気泡が基板表面から外れやすくなります。また、基板表面の下地金属膜の薄い自然酸化膜を除去する酸活性処理も重要です。薬品メーカーが様々な用途に適した前処理液を市販しており、弊社でも必要に応じて薬品メーカーの助言を得て、最適な前処理液を選定しています。



4.基板表面の凹凸への対応

多層ビルドアッププリント基板において、レーザー加工によりビア形成が行われます。穴あけ加工後、ビア側壁に、ガラエポ樹脂のガラス繊維やフィラーが露出することにより凹凸ができます。めっき前処理が不十分な状態では凹凸に気泡が残留したまま、めっきを行うことによりボイドが発生する原因となります。配線の微細化が進むほど、よりシビアな管理が求められます。


シリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)や、深い溝(トレンチ)構造の配線、銅ピラーなど厚膜のドライフィルムを用いたパターンめっきおいても、アスペクト比が高くなってくると、気泡が残留する要因となります。処理槽に基板を浸漬した状態で超音波をあてたり、減圧したり、前処理液や純水中の溶存酸素を除去した脱気水により、気泡を吸収させるといった方法が用いられます。



5.腐食性金属の取り扱い

鉄を多く含む磁性合金めっきにおいては、めっき後、基板表面を乾燥させるとすぐに酸化が進んでしまい品質が悪化します。これを避けるためには、速やかに基板表面のめっき液を洗い流す、表面を乾燥させないよう、常時純水をかけながら搬送を行う、スピンリンスドライヤー(SRD)で素早く乾燥させるといった工夫が必要となります。

また、異種金属の連続積層めっきなどにおいては、金属が持つ電位差によりガルバニック腐食(局部電池作用)が起きることがあります。最終の水洗だけでなく、中間の水洗においても工夫が必要です。腐食の進行を極力抑えた処理方法を検討する必要があります。




最後に

いかがでしたか?


めっきプロセスにおいては、前処理、後処理の条件の最適化を図ることは重要な検討ポイントです。プロセス条件の比較検討を行い、その結果に基づいて、生産装置の仕様決め、設計、製作まで一貫して弊社でサポートさせていただきます。



東設に興味を持っていただいた方はこちらから。




Comments


bottom of page