top of page
きちんとしたコンピュータデスク

BLOG

ブログ

低応力ニッケルめっきによる電鋳プロセス技術開発のお話

更新日:2023年7月28日



こんにちは、研究開発部のTRです。


本記事では、様々な電子デバイス製品分野で応用されているニッケル電鋳(エレクトロフォーミング:Electroforming)プロセスについて、弊社の低応力ニッケルめっき技術開発のお話をさせていただこうと思います。



ニッケルめっきが広げる電子デバイスの可能性

微細な凹凸形状をした金型を作製することを目的としたニッケル電鋳(エレクトロフォーミング:Electroforming)は、CDやDVDのスタンパー、インクジェットプリンタヘッドや有機ELファインメタルマスク、MEMS、ナノインプリントなど、様々な製品分野で応用されている技術です。


通常、シリコンや樹脂などの基板上に凹凸形状を形成、導電層を成膜したあと、めっきを行います。基板からニッケルめっき膜をはがし、転写された凹凸形状を利用するのが電鋳の技術です。


めっき膜を剥がして利用するには、表面に形成された凹凸形状を保ち、それぞれの用途に応じて、適切に取り扱えるよう、ある程度の厚さが必要です。




ニッケル電鋳を検討する上での3つのポイント

ニッケル電鋳を検討する際には下記3つのポイントがあります。


1.微細パターン形成

めっきによる微細パターン形成は一般的にフォトリソ工程が使われています。数μmオーダーの線幅/ピッチの配線パターンを作製することも可能です。電鋳においては、母型から剥がしやすくするため、離型剤を表面に塗布します。



2.めっき膜の内部応力

めっきを行う際の注意点として、めっき膜の内部応力を適切にコントロールすることが挙げられます。一般的には、使用するめっき液に応力緩和剤を添加して反りを抑制しています。適切な応力緩和を行わない場合、剥がしためっき膜が反ってしまい、取り扱いが困難になります。


3.膜厚バラツキ

めっき速度が速い(高電流密度)ほど、また、めっき膜厚が厚くなるほど、基板の中心部と、エッジ部の膜厚差が大きくなる傾向があります。めっき速度を極力高く保ちながら、膜厚の均一性を向上させるためには、めっき槽の構造や寸法精度、電極間、つまり、陽極(ニッケル電鋳の場合、純ニッケル板)と陰極(製品基板)の位置精度、めっき液撹拌など、条件の最適化を行うことが重要です。



東設は低反り膜厚めっきと高い膜厚均一性を実現します!

弊社はシリコンウエハや基板への微細配線めっきを得意としています。


ニッケルめっき、NiFe、NiFeCo磁性膜めっきの豊富な知見を持ち、低反り厚膜めっきと高い膜厚均一性を実現するノウハウを有しており、お客様からの様々な評価リクエストにお応えしています。


具体的な弊社のデータを下記記載します。



1.めっき膜の内部応力のコントロール

めっき条件と添加剤条件をコントロールすることにより、数100μm厚さの低応力なニッケルめっき膜を作製することが可能です。下のグラフは、めっき膜厚と内部応力の変化を示したものですが100~150μmで応力が小さい、つまり、基板の反りを最小限にすることを目的としためっき条件のコントロールが可能であることがわかります。


ニッケルめっき膜厚に対する内部応力の変化



2.高い膜厚均一性

弊社の長年培ってきた装置技術により、8インチウエハサイズにおける膜厚バラツキを、狙い膜厚に対して±5%以内に収めることが可能です。精密さを求められる電鋳製品においては、高さ(膜厚)の高い寸法精度が要求されるため、平坦化工程が必要とされる場合があります。高さバラツキが大きいほど平坦化処理に時間を要するためコストアップ要因となります。高さバラツキを抑えることが製造コストの削減に大きく寄与します。



低応力ニッケルめっき電鋳の応用分野

低応力ニッケル電鋳の応用分野を下記ご紹介いたします。


1.インクジェットプリンタヘッド

インクジェットプリンタのインクを噴射するプリンタヘッドのノズル部などに、ニッケル電鋳の技術が使われています。



2.ファインメタルマスク(FMM:Fine Metal Mask)

有機ELの製造工程において、有機ELの発光材料をガラスやフィルム上に蒸着させる際にメタルマスクが用いられています。従来のエッチング方式よりも微細化できるため、めっき方式によってマスクによって高精細化が実現できます。



3.ナノインプリント

微細パターンの形成を目的として開発されたナノインプリントの技術は、ナノオーダーの基板上に樹脂材料を塗布し、熱硬化または光硬化により、ナノオーダーの凹凸構造を形成します。ニッケル電鋳によって作製したモールドは、熱硬化方式の場合に適用可能です。



最後に

いかがでしたか?


東設ではニッケルめっき、NiFe、NiFeCo磁性膜めっきの低反り厚膜めっきと高い膜厚均一性を実現し、お客様の製品開発の支援させていただきます!



東設に興味を持っていただいた方はこちらから。




Comments


bottom of page